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硝子体注射(抗VEGF治療)

硝子体注射(抗VEGF治療)とは

抗VEGF治療(硝子体注射)

硝子体注射(抗VEGF治療)は、病院を中心として、もともと加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)に対して行われていた治療で、原因となるVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor-血管内皮増殖因子)の働きを抑制する薬を白目から目の中に注射する治療です。
VEGFは、新生血管の増殖や成長に関与し、現在では加齢黄斑変性に加え、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症などの網膜の病気に対してもこの治療法が行われています。
現在、国内において硝子体注射の際に用いられる薬剤は、ルセンティス、アイリーア、マクジェンが認められています。

硝子体注射(抗VEGF治療)

抗VEGF物質のはたらき


1.
血液成分の漏れを抑えて、黄斑浮腫(黄斑部のむくみ)を退けるはたらき
 ▶︎糖尿病網膜症網膜静脈閉塞症など

2.異常血管を退縮させ、新生血管からも血液成分の漏れを抑制するはたらき
 ▶︎加齢黄斑変性病的近視など

硝子体注射(抗VEGF治療)の対象疾患

加齢黄斑変性

ものを見るときに重要な役割を担う黄斑という組織が、老化に伴い、障害が生じてものが見にくくなる病気です。
目をカメラに例えると、網膜はカメラのフィルムにあたり、黄斑は網膜の中心に位置し、細かいものを識別する、色を見分けるなどの働きをし、網膜の中でも最も大切な場所です。
加齢黄斑変性は進行性の病気で、放置すると最終的には失明に至ることもあります。
ものが歪んで見える、視野の中心が暗くなる、欠けるなどの症状が現れます。
白内障などとは異なり、症状が改善することはできないので、早期発見が大切です。
症状を自覚したら直ぐに眼科を受診してください。

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併症(残りは糖尿病腎症、糖尿病神経障害)のうちの一つで、加齢黄斑変性と異なり、初期に症状を自覚しにくいため、受診のタイミングが遅れることが多い病気でもあります。
糖尿病網膜症は、その名の通り、糖尿病に付随して起こる病気で、糖尿病によって血液中に糖分が高い状態が続くと、網膜の細い血管が詰まったり、出血を起こしたりするようになります。
進行し、もともとある血管が障害を受けると、その働きを補おうと新しい血管(新生血管)が作られます。
新生血管は非常に脆く、破れて血液成分が溢れたりすると重大な視力障害をきたすこともあります。
糖尿病網膜症の進行の程度に合わせて適切な治療を行います。
近年では、硝子体注射(抗VEGF治療)による治療が注目されています。

網膜静脈閉塞症

網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が閉塞することによって血管が詰まり、血液が流れなくなる病気です。
糖尿病網膜症と並んで眼底出血を引き起こす代表的な網膜硝子体疾患の1つです。
50歳以上のご年配の方に起きやすい病気で、高血圧と関連性の高い病気です。
また、溢れた血液が網膜内に閉じ込められるとむくみ(黄斑浮腫)を引き起こすこともあります。
症状としては「目のかすみ」「視野が欠ける」「視力低下」などが挙げられ、黄斑浮腫を改善する目的で硝子体注射(抗VEGF治療)を行うことがあります。

病的近視

正常な目では眼球がきれいな丸い形をしているのに対して、近視は眼球の長さ(眼軸長)が長いため、目の中に入った光が網膜よりは前で像を結ぶため、裸眼で遠くが見えづらくなります。
近視を度数で区分すると0D~-3.0Dは軽度近視、-3.0D~-6.0Dは中等度近視、-6.0D~は強度近視となります。
強度近視で眼軸が長いと、網膜や脈絡膜が後方に引っ張られて眼底組織に様々な障害を生じる場合があります。
眼底組織に異常が生じた強度近視を病的近視と言います。
病的近視は、日本でも失明原因の上位に入る疾患です。

網膜などの眼底組織に過度に負荷がかかった状態では、脈絡膜新生血管が発生し、出血やむくみ(黄斑浮腫)を引き起こすがあります。
新生血管の成長の原因となるVEGF(血管内皮増殖因子)を抑える治療として硝子体注射(抗VEGF治療)を選択できるようになり、体への負担の少ない治療ができるようになりました。

続発緑内障

緑内障は多くの場合、非常にゆっくり進行していき、徐々に視野が欠けていきます。
両眼の症状が同時に進行していくことは稀で、片眼の視野が欠けてももう片方の目が視野を補完するため、緑内障が悪化するまで殆ど自覚することができず、緑内障の症状が出ているにも拘らず、大半の方が気付かずに日常生活を送っていると言われています。

緑内障の中には急性のものもあり、急激な視力低下に激しい眼の痛みや吐き気を伴うこともあります。
急性緑内障発作とも言われ、症状から頭の病気であると錯覚してしまい内科や脳神経外科を受診して、眼科での治療が遅れてしまうケースもありますが、この場合、早急な治療が必要となります。

硝子体注射(抗VEGF治療)の方法

アイリーアもしくはルセンティスという薬剤を白目から眼球中心部にあたる硝子体に向けて注射します。
これにより、新生血管(本来は存在しない異常血管)を退縮させ、黄斑浮腫の軽減が期待できます。

硝子体注射(抗VEGF治療)の流れ

点眼麻酔

目の周りを消毒します。

針を刺しても問題ない白目部分から抗VEGF薬を注射します。

※注射自体は1分程度で終わり、外来で受けていただくことが可能です。
※注射の痛みについて術前に点眼麻酔を行うため、痛みはほとんどありません。

硝子体注射(抗VEGF治療)の治療スケジュール

加齢黄斑変性の場合

硝子体注射(抗VEGF治療)では、治療開始時にアイリーアもしくはルセンティスのどちらかを薬剤を注射します。1回目の注射の後、検査および経過観察をしながら導入期にあたる3ヶ月は連続で注射を行い、それ以降の維持期については経過を見ながら、必要に応じて注射を行います。

硝子体注射の治療スケジュール

注意事項

治療開始時に1か月毎に計3回の注射を行い、経過観察を続け、症状に応じて注射を通常2~3ヵ月おきに注射を行います。

1%以下の確率で「眼圧上昇」「白内障の進行」「脳梗塞」「生理不順」などの副作用が出る場合があります。

保険診療の対象となります。下記1回の注射の目安となります。

1割負担の方:約18,000円(税込み)

3割負担の方:約50,000円(税込み)

高額療養費制度が適応される場合がありますので、詳しくは厚生労働省のホームページの【高額療養費制度を利用される皆さまへ】を参照ください。

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記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医

眼科医 福岡 佐知子

眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。