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屈折異常(近視・遠視・乱視)

屈折異常(近視・遠視・乱視)とは、カメラでいうフィルムに相当する網膜にちゃんとピントが合っていない状態のことを指します。屈折異常には、近視・遠視・乱視があります。
この記事では、屈折異常(近視・遠視・乱視)のそれぞれの原因や治療について解説します。

この記事で解説していること

  • ✔近視について︎
  • ✔近視のよる他の目の病気のリスクについて
  • ✔強度近視について
  • ✔遠視について
  • ✔乱視について
  • ✔正乱視と不正乱視について
  • ✔屈折異常(近視・乱視・遠視)の治療法について
  • ✔矯正方法の種類や特徴について

屈折異常とは

眼軸長

人はものを見るとき、無意識に見たいものにピントを合わせています。
目をカメラに例えると「角膜」「水晶体」がレンズで、「網膜」がフィルムにあたります。

通常は目に入ってくる光がレンズを通して屈折し、網膜にはっきりとした像を映し、このピントが合う状態を「正視」と言います。
それに対して、ピントが合わない状態を屈折異常と言い、大きく「近視」「遠視」「乱視」の3つの状態があります。

近視

近視

眼球が長い(角膜と網膜の距離が長い)ため、目に入ってきた光が網膜よりも前で像を結んでいる状態(近くのものは見えやすいが、遠くのものは見えにくい)です。 近視について 「遺伝的要因」と「環境的要因」の2つが近視の発症に関与すると考えられており、 近年のパソコンやスマートフォン、タブレットの普及に伴い、子どもの生活上でも近くを見続ける時間が増え、今後ますます近視人口が増えていくと予測されています。 日々の生活の中で近視とどう向き合っていくかが大切になってきます。

近視は将来の目の病気に影響する?

近視は、視力矯正(メガネやコンタクトレンズ)によって視力が出るため、これまで問題視されてきませんでしたが、現在疫学データー(病気に罹患する法則の調査)の蓄積により、近視がある場合とない場合では、将来他の目の病気に罹患する確率が高まることが分かってきており、「黄斑変性(おうはんへんせい)」「緑内障」「網膜剥離(もうまくはくり)」などの病気の発症リスクが高いとされいています。緑内障に至っては近視がある場合はない場合の緑内障のリスクが約4倍高くなります。

強度近視(病的近視)とは?

近視などがない正常な眼球は、眼軸長(目の奥行きの長さ)が24mm程度とされていますが、眼軸長が異常に長い状態を強度近視といいます。
近視のうち、度数が-6.00D以上のものが強度近視と分類されます。
強度近視によって眼球の後方部が変形し、目の後方の組織である「網膜」「脈絡膜」「視神経」などに病的変化をもたらし、視力矯正をしても正常な視力が出ない状態を病的近視といいます。
強度近視(病的近視)は、日本を含む先進諸国においても中途失明原因の上位に入ります。
世界的に見ても特にアジア圏に多いという特徴があります。

遠視

遠視

眼球が短い(角膜と網膜の距離が短い)ため、目に入ってきた光が網膜よりも後ろで像を結ぶ状態です。近くにも遠くにもピントが合わないため、視界がぼやけて見えます。字面からよく遠くがよく見える目と勘違いされがちですが、正しくは遠くも近くもぼんやりとして見づらい状態の目が遠視です。 遠視では近くを見るときも、遠くを見るときもピントを合わせようと頑張って見る状態が持続するので、しばしば眼精疲労が生じます。特に子どもの遠視は注意が必要です。生まれつき視力が悪い子どもにとって、通常の感覚からすると見えづら状態も自分の中では当たり前となっているケースが多々あります。一見日常生活に不便性を感じて無さそうに見えても、視力測定をしてみると、視力が十分に出ていないことがあります。そのような状態が続くと「弱視」や「遠視」に繋がりやすくなります。外見では判断がつかないこともあるので、三歳児健診や学校健診での眼科健診をちゃんと受けるようにしましょう。

乱視

乱視

角膜や水晶体が歪んでいることが原因で目に光が入る方向によってピントが合う距離がズレる状態です。網膜に焦点が合わないのでものが二重に見えたり、ぼやけて見えたりします。一般的な乱視を「正乱視」と言い、メガネで矯正することができますが、白内障や角膜の病気が原因で出現する乱視は「不正乱視」と言い、メガネや眼内レンズでは矯正することができません。

正乱視

正乱視とは、目の角膜や水晶体がある一定方向に歪んでいる乱視のことです。
角膜と水晶体の縦もしくは横のカーブが屈折力の違いによる「方向が規則正しい乱視」であり、メガネや乱視用のソフトコンタクトレンズでの矯正が可能です。

不正乱視

正乱視が「カーブ方向が規則正しい乱視」に対して、不正乱視は「カーブ方向が不規則な乱視」のことをいいます。
角膜の表面が不規則に歪み、表面に凹凸がある状態になります、焦点が多数できるため、安定した見え方ができません。(円錐角膜などの角膜変性疾患や外傷などが原因となります。)
不正乱視の場合は、メガネやソフトコンタクトレンズでは矯正ができないため、ハードコンタクトレンズでの矯正が必要となります。

屈折異常の治療

屈折異常の一般的な矯正法はメガネ・コンタクトレンズになります。
近年では、患者さまの適性やライフスタイルに合わせた治療を選択できるようになりました。近視進行抑制効果のある点眼「マイオピン治療」、就寝中に特殊なハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を矯正して近視矯正をする「オルソケラトロジー」、裸眼で見えるようになりたいという方には「レーシック」や「ICL(眼内コンタクトレンズ)」などの屈折矯正手術があります。

オルソケラトロジー

オルソケラトロジー(ナイトコンタクトレンズ)

オルソケラトロジーとは、近視や近視性乱視の方に対して有効的な手術のいらない視力矯正治療です。

通常のコンタクトレンズが、日中にレンズを装用して視力矯正を行うのに対して、オルソケラトロジーは寝ている間に特殊なハードコンタクトレンズ(オルソケラトロジーレンズ)を装用し、朝起きたらレンズを外して日中を裸眼で過ごすことができる治療です。

特に近視の進行しやすい学童期の子どもの場合、早期に治療することで効果が大きくなることがわかっています。

レーシック(LASIK)

レーシック(LASIK)

レーシック(LASIK)は、角膜(目の表面)にエキシマレーザーを照射することで、角膜のカーブを変えて視力を矯正する手術です。手術後は裸眼で日常生活を過ごすことができます。

視力回復が早く、ダウンタイムが少ないことが特徴です。

ただし、まれに視力のリバウンド(近視の戻り)が起きたり、一時的にドライアイを感じやすくなるなどの相応のデメリットもあります。

ICL(眼内コンタクトレンズ)

ICL(眼内コンタクトレンズ)

レーシック(LASIK)に変わる新しい視力矯正手術として近年注目を集めています。

目の中に専用の小さなレンズを移植(インプラント)することによって、視力矯正を行うことが可能です。目の中にレンズを入れてしまうため、レンズのメンテナンスは不要です。また、万一の場合は摘出して元に戻せる点が評価されています。

目の中にレンズを入れると聞くと不安に感じられるかもしれませんが、レンズは生体適合性の高い(ヒトの体になじみやすい)素材でできています。また非常に柔軟性があるため、レンズが割れたりする心配は不要です。

デメリットとしては、レンズが非常に高価である点や内眼手術(眼球内の手術)特有のリスクがある点が挙げられます。

矯正方法の種類と特徴

長所 短所
メガネ 合併症がない フレームの煩わしさ・強度近視・乱視には像が小さい・ゆがみ・矯正不良など
コンタクトレンズ 視界良好 ドライアイ・アレルギー・感染症などの合併症
オルソケラトロジー(自費) 視界良好・日中裸眼で過ごせる・元に戻せる 夜間にコンタクト装用・コンタクトレンズと同様の合併症・中止すると元に戻る
レーシック(自費) メガネから解放される まれに合併症がある・強度近視に適応外・元に戻せない・高価
ICL(眼内コンタクトレンズ)(自費) メガネから解放される・強度近視にも対応可・レーシックより見え方がよい・摘出が可能であり、元に戻せる まれに合併症がある・高価
矯正方法の特徴

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記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医

眼科医 福岡 佐知子

眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。