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眼内レンズの摘出と交換(入れ換え)について-白内障の再手術

IOL(眼内レンズ)の摘出・交換について

白内障手術では濁った水晶体を摘出し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。

多くの患者様が手術後良好な視力が得られますが、時に「思った見え方と違った」「予定していたピントの位置からずれてしまった」、外傷や継時的変化で「眼内レンズがズレたり落下した」など問題が起きることがあります。このような場合は眼内レンズを抜去したり、交換(入れ替え)を行うことがあります。

ふくおか眼科クリニック中野では、そのような術後のトラブルや特殊な症例にも積極的に対応させていただいております。

この記事では、「眼内レンズの摘出や交換(入れ換え)」が必要となるケースや、どんな治療法があるのか、当院で実施している治療について解説します。

この記事で解説していること

  • ✔眼内レンズの摘出や交換が想定されるケース
  • ✔眼内レンズの摘出や交換(白内障の再手術)を検討する時期について
  • ✔白内障手術後のトラブル(白内障の再手術)における治療の選択肢
  • ✔眼内レンズの摘出・交換(入れ換え)手術について
  • ✔当院の手術の特徴

当院ではLINEによる治療・手術の相談を実施しております。
お気軽にご利用ください。

眼内レンズの摘出や交換(入れ換え)を検討するケース

眼内レンズ

現在、白内障手術の技術が確立されたことによって、多くの施設で日帰り手術が実施されています。
また、手術技術だけではなく眼内レンズも進化し、多機能のレンズが多数登場しています。
単焦点眼内レンズしかなかった時代は、術後の見え方はおよそ予測どおりでした。
しかし、レンズが多様化したことによって、術後経過良好の患者様がほとんどではありますが、時に想像していた見え方と違った、
レンズが順応しない、著しく生活の質(QOL)を損なってしまったなど、術後悩まれている患者様もいらっしゃいます。
このような場合次にどうするかを検討しなければなりませんが、その中の一つに眼内レンズの摘出や入れ替えがあります。

白内障手術後に眼内レンズの摘出や交換(入れ換え)を検討するのは下記の通りです。

想定されるケース

  • ✔眼内レンズの度数ずれ
  • ✔多焦点眼内レンズの見え方が合わない(順応しない)場合
  • ✔眼内レンズの脱臼(落下)・亜脱臼

眼内レンズの度数ずれ

稀ではありますが眼内レンズが予測と異なって度数ずれが起きることがあります。
通常、術前検査で目の長さ(眼軸)や角膜のカーブ、その他様々な眼球の計測を行い、そのデーターを元に眼内レンズ度数計算式に入力して眼内レンズの度数を決定しています。計算式はごく平均的な目の形の場合はずれにくいですが、眼軸が長い、短い、LASIK後などの場合は、どんなに術前検査を精密に行っていてもずれる場合があります。
また、標準的な眼球で、計算式のズレがなかったとしても、眼内レンズは0.5ジオプター刻みで製造されているため(度数によっては1ジオプター)、眼内レンズで行う矯正にも限界があります。眼内レンズを入れ替えるほどの大きなズレかどうかを主治医の先生とよく相談する必要があります。

多焦点眼内レンズの見え方が合わない(順応しない)場合

多焦点眼内レンズは術後広い範囲が見え、裸眼で過ごせる大きなメリットはありますが、ハローグレアと呼ばれる光のハレーションや、コントラストが下がるなどのマイナス面もあります。術後見え方は経過とともに順応しますが、まれに慣れない場合や、期待していた見え方と違った、思った以上にデメリット(ハロー・グレアや見え方の質)が大きかった、などの問題が起きることがあります。このような場合は入れ替えを検討する必要があります。

眼内レンズの脱臼(落下)・亜脱臼

白内障手術後の経過が良好でも、将来的に眼内レンズが目の中に落ちたり(脱臼)、ズレたり(亜脱臼)する場合があります。

白内障手術時、眼内レンズは水晶体の嚢(袋)に挿入します。水晶体はチン小帯と呼ばれる細い多数の繊維でその周辺組織に支えられているだけなので、加齢や外傷などにより、このチン小帯が断裂することがあります。その結果、眼内レンズがズレたり目の奥に落下します。このような場合も眼内レンズの摘出や入れ替えなどを検討する必要があります。

眼内レンズの摘出・交換(入れ換え)の検討時期について

IOL(眼内レンズ)の摘出と交換(入れ換え)について

白内障手術後一定期間経つと水晶体嚢という眼内レンズが収まっている袋と眼内レンズが癒着し、摘出できなくなります。一般的には1から2ヶ月くらいと言われていますが、眼内レンズの種類や素材によっては半年から1年でも摘出・交換ができる場合もあります。

白内障の再手術を検討する際の治療選択肢

白内障術後のトラブルに対し、眼内レンズの摘出・交換を行うことがありますが、それ以外の治療の選択も含めご紹介したいと思います。

治療の選択肢

  • ✔眼内レンズの交換
  • ✔タッチアップ(白内障術後のレーシック)
  • ✔Add-On IOL(アドオン眼内レンズ)

眼内レンズの交換(入れ替え)

大幅に度数がずれた場合、挿入した眼内レンズの見え方に順応できない、思った見え方と違ったという場合に、挿入された眼内レンズを取り出し、新しい眼内レンズを挿入します。
一般的には白内障手術後1から2ヶ月程度で眼内レンズと水晶体嚢が癒着するため、それまでに再手術を検討する必要があります。(レンズの種類によってはいつまでも癒着していないものもあります)
眼内レンズを挿入した水晶体嚢やその周囲組織は繊細なため、再手術は慎重に検討する必要がありますが、術後どうしても順応しない場合は時期を逃さず入れ替えるほうが良いと考えます。
メリットは入れ替えることによって見え方の改善の可能性があること、デメリットは手技が難しいことやタイミングを逃すと入れ替えが困難なことが挙げられます。

タッチアップ(白内障術後のレーシック)

タッチアップとは、白内障手術後に残ってしまった屈折異常(近視・遠視・乱視)を改善することを目的に行うレーシック治療です。エキシマレーザーというレーザーを角膜に照射して、角膜を削ることによって屈折異常を矯正します。屈折度数ずれが小さい場合や、手術から時間が経って眼内レンズが摘出できない場合の治療に優れています。

デメリットは、ドライアイや、薄いフラップを作成するため外傷に弱いなどがあります。また、角膜厚が足りない場合や、円錐角膜などの角膜疾患がある場合は施術することができません。

Add-On IOL(アドオン眼内レンズ)

Add-On IOL(アドオン眼内レンズ)は、すでに白内障手術を行い、眼内レンズが挿入されている目に対して、術後に残った屈折異常(近視・遠視・乱視)を矯正するために挿入する追加挿入型眼内レンズとなります。

すでに挿入された眼内レンズに加えてレンズを挿入する形になりますので、水晶体嚢と眼内レンズが癒着している場合でも対応が可能です。近視や遠視矯正レンズ、乱視矯正レンズ、多焦点レンズがあります。
初回手術から時間が経っていても再手術が可能で、手技も複雑ではない点がメリットですが、レンズが2枚重ねとなりますので、見え方の質は1枚で矯正されている見え方と比べると少し劣る可能性があります。

眼内レンズの摘出後は?

眼内レンズを入れ替えたり、タッチアップやadd-onレンズで経過良好となった場合は良いですが、再手術時に水晶体嚢が残せず、次の眼内レンズが水晶体嚢に挿入できなかった場合や、眼内レンズ脱臼亜脱臼の場合は、以下の方法で眼内レンズを固定します。

眼内レンズの固定法

  • ✔眼内レンズ縫着術
  • ✔眼内レンズ強膜内固定術
IOL(眼内レンズ)の摘出手術について

眼内レンズ縫着術

眼内レンズの支持部と強膜を糸で固定します。細い糸でレンズを固定するため、経年変化によって糸が切れて再度「脱臼」「亜脱臼」を起こすことがあります。手技には手間と時間がかかりますが、昔から行われている方法です。

眼内レンズ強膜内固定術

強膜内に作成した極小の孔から、眼内に挿入した眼内レンズの支持部を眼外へ引き出し、強膜に埋め込んで固定します。

縫着術と比較すると、レンズの安定性が高く、縫合が不要で手技がシンプルになったことにより、手術時間も短縮されています。当院でも主に強膜内固定術を行っています。

強膜内固定術では、硝子体(眼球内を満たすゼリー状の物質)の処理も必要なため、眼内レンズを摘出すると同時に、硝子体手術も行います。

当院の手術の特徴

白内障手術は、現在小切開で実施され、2.4mm~3.0mmの切開幅から眼内レンズを挿入します。レンズを挿入する際は、折りたたまれた状態で挿入し、挿入後に眼内で広ることによって固定されますが、摘出の際には手術手技が少し複雑になります。レンズを摘出する際には従来、挿入時と同様に折りたたんで摘出することができないため、眼内レンズを細く切って取り出す、もしくは水晶体嚢(眼内レンズが入っている袋)との癒着が認められる場合には、癒着部分を剥がし、水晶体嚢を残せるように試みますが、難しい際は水晶体嚢摘ごと眼内レンズを出する必要があり、患者さまの身体への負担やリスクが大きくなります。

これらの問題を解決するため、当院院長が眼内でレンズを折りたたんだ状態で摘出することのできる医療機器の開発を行いました。

福岡氏IOL摘出鑷子
福岡氏IOL摘出鑷子

福岡氏IOL摘出鑷子

眼内レンズの摘出イメージ

IOL(眼内レンズ)摘出の手順

眼内レンズの光学部は直径6mmであり、これをそのまま摘出する場合は6mmの傷口を作成して摘出します。切開創が大きいと最後に傷口を縫う必要があり、乱視などが出てしまいます。そこで現在は、鑷子(せっしというものを挟む医療機器)で眼内レンズを半分に折りたたんだり、剪刀(せんとうというハサミ)で眼内レンズを切って、小さな傷口から摘出する方法が行われています。傷口が小さくなったメリットはありますが、目の中の非常に狭いスペースで複雑な手技を行うため、手技に手間取ると、角膜や虹彩にダメージを起こしたり、出血を起こすことがあります。
そこで当院院長は眼内レンズを摘出する鑷子(福岡氏IOL摘出鑷子)を作成し、眼内レンズをカートリッジ(眼内レンズを丸めて小切開創から眼内に挿入するための医療機器)に引き込んで小切開から摘出する新しい方法“Cartridge pull-through technique”を考案しました。これにより、目の中での操作が少なく、安全で簡単に眼内レンズの摘出が可能となります。加えて短時間かつ低侵襲手術となったことで患者さまへの負担やストレスも少なくなりました。
この手術は国内、海外でも評価されています。

2019年 第73回 日本臨床眼科学会
Film Award 「カートリッジと鑷子によるIOL摘出法」 Grand Prix

2020年 アメリカ白内障・屈折矯正学会 (ASCRS)
Film Festival 「Minimally Invasive IOL Extraction」 New Technology部門 1位

2021年 アジア太平洋白内障・屈折矯正学会(APACRS)
Film Festival 「Minimally Invasive IOL Extraction」部門賞2位

※【注意】手術動画になりますので、心臓の弱い方は閲覧をお控えください。

カートリッジと鑷子による
IOL摘出法(日本語版)

Minimally Invasive IOL Extraction(English edition)

手術執刀医

網膜硝子体手術

院長 福岡 佐知子
Sachiko Fukuoka

当院で行う手術は、すべて当院院長が執刀を行います。

これまで眼科専門病院で17年間勤務し、難症例や合併症を有する症例、網膜硝子体手術を得意とします。

当院では、入院や安静が必要となる重篤疾患の場合を除き、日帰りで患者様の心身に負担のかからない低侵襲な手術を実施します。

また、感染症や滅菌対策を徹底したクリーンな環境下で、
眼科手術に精通したスタッフとの「チーム医療」で患者様の「見える」の最善を追求します。

経歴
川崎医科大学附属病院 眼科
姫路聖マリア病院 眼科
多根記念眼科病院 部長
多根記念眼科病院 副院長
多根記念眼科病院 非常勤医師 手術執刀医
ふくおか眼科クリニック 中野 院長

資格
日本眼科学会認定 眼科専門医
後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)認定医・エキスパートインストラクター
エキシマレーザーVisix認定医・インストラクター
オキュレンティス社認定医・インストラクター
フェムトセカンドレーザー IntraLase FS Laser認定医
フェムトセカンドレーザー白内障手術Catalis 認定医
虹彩固定型有水晶体眼内レンズ(Artisan)認定医
虹彩固定型有水晶体眼内レンズ(Artiflex)認定医
角膜内リング(Intacs)認定医
角膜内リング(Ferrara ring)認定医
眼瞼けいれん治療ボツリヌス療法認定医
オルソケラトロジー認定医
光線力学的療法(PDT)認定医
Laser Vitreolysis認定医
iStent認定医
身体障害者福祉法指定医

まとめ

白内障手術は1回でちゃんと終わることが望ましいですが、白内障手術後の不具合は、国内における白内障手術件数の増加や多焦点眼内レンズの普及に伴って今後も増えていくことが予想されます。

白内障の再手術=眼内レンズの摘出や交換(入れ替え)について解説させていただきましたが、どの治療も一長一短であるため、どの治療がベストになるかは患者様の現在のお悩みや目の状態によって異なってきます。今回、ご紹介させて頂いた治療については当院ではすべて対応可能です。

また当院では遠方からお越しいただく患者様も少ないため、LINEによる無料相談も行っております。気になる症状のある方はご活用いただけましたら幸いです。

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記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医

眼科医 福岡 佐知子

眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。

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