眼内レンズの光学部は直径6mmであり、これをそのまま摘出する場合は6mmの傷口を作成して摘出します。切開創が大きいと最後に傷口を縫う必要があり、乱視などが出てしまいます。そこで現在は、鑷子(せっしというものを挟む医療機器)で眼内レンズを半分に折りたたんだり、剪刀(せんとうというハサミ)で眼内レンズを切って、小さな傷口から摘出する方法が行われています。傷口が小さくなったメリットはありますが、目の中の非常に狭いスペースで複雑な手技を行うため、手技に手間取ると、角膜や虹彩にダメージを起こしたり、出血を起こすことがあります。
そこで当院院長は眼内レンズを摘出する鑷子(福岡氏IOL摘出鑷子)を作成し、眼内レンズをカートリッジ(眼内レンズを丸めて小切開創から眼内に挿入するための医療機器)に引き込んで小切開から摘出する新しい方法“Cartridge pull-through technique”を考案しました。これにより、目の中での操作が少なく、安全で簡単に眼内レンズの摘出が可能となります。加えて短時間かつ低侵襲手術となったことで患者さまへの負担やストレスも少なくなりました。
この手術は国内、海外でも評価されています。
2019年 第73回 日本臨床眼科学会
Film Award 「カートリッジと鑷子によるIOL摘出法」 Grand Prix
2020年 アメリカ白内障・屈折矯正学会 (ASCRS)
Film Festival 「Minimally Invasive IOL Extraction」 New Technology部門 1位
2021年 アジア太平洋白内障・屈折矯正学会(APACRS)
Film Festival 「Minimally Invasive IOL Extraction」部門賞2位