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5焦点眼内レンズ-Intensity(インテンシティ)

5焦点眼内レンズ Intensity(インテンシティ)

白内障手術は、手術手技と医療機器の進歩によって安全性の高い手術として確立され、見え方を追求する時代に変化しつつあると言えます。

その中で、術後の見え方に大きく影響を与えるのが白内障手術時に摘出した水晶体の代わりに挿入する「眼内レンズ」です。術式や機器だけでなく、眼内レンズも進化して現在さまざまなタイプが登場しています。

これまでに数々の多焦点眼内レンズが登場する中、2021年に世界初の「5焦点眼内レンズ」が登場しました。

当院でも5焦点眼内レンズ「Intensity(インテンシティ)」の取扱いを行っています。
この記事では5焦点眼内レンズ「Intensity(インテンシティ)」の特徴や従来の眼内レンズとの違い、メリット・デメリット、費用について解説します。

この記事で解説していること

  • ✔5焦点眼内レンズ-Intensityのレンズの特徴について
  • ✔5焦点眼内レンズ-Intensityと他の多焦点眼内レンズとの違いについて
  • ✔5焦点眼内レンズ-Intensityの見え方と焦点距離の目安について
  • ✔5焦点眼内レンズ-Intensityのデメリットについて
  • ✔5焦点眼内レンズ-Intensityの費用について

5焦点眼内レンズ-インテンシティとは

5焦点眼内レンズとは、従来の2・3焦点眼内レンズの「遠方」「中間」「近方」に加え、「遠中」「近中」の計5つの距離にピントを合わせることが可能な多焦点眼内レンズです。

日常生活において必要な視界をより高い精度でカバーし、幅広い焦点距離にスムーズにピント調整を行うことが可能で、裸眼で快適に過ごすことが実現できる多焦点眼内レンズです。

2023年現在、対象となるレンズはHanita Lenses社(イスラエル)製の「インテンシティ(Intensity)」のみとなっています。

インテンシティ(Intensity)は、2019年にヨーロッパで安全基準をクリアして「CEマーク」を取得し、日本では2020年9月より「自由診療」の枠で取り扱いが開始となった新しい眼内レンズとなります。

レンズスペック

名称 インテンシティ(Intensity)
光学部デザイン 5焦点回折型
焦点距離(ピント) 遠・遠中・中・近中・近(∞・133cm・80cm・60cm・40cm)
乱視矯正 ◯(強度近視非対応)
ハロー・グレア 少なめ
生産国 イスラエル
メーカー Hanita Lenses
素材 25%親水性アクリル素材
矯正範囲 10.0D〜30.0D(0.5Dきざみ)

イスラエルの会社の眼内レンズ

他の多焦点眼内レンズのメーカー所在地や生産国はアメリカやヨーロッパがほとんどですが、5焦点眼内レンズのIntensity(インテンシティ)を開発・生産しているHanita Lenses社はイスラエルの企業になります。

他の多焦点眼内レンズのメーカーは欧米や欧州の中で、Intensity(インテンシティ)のみ中東の眼内レンズということで気になる方が多いかもしれません。

実際のところ、イスラエルはITやサイバーテクノロジーの分野において世界的に高い技術力が認められ、最新技術の発信元として有名な先進国です。
さらにIntensity(インテンシティ)はEU加盟国で一定の基準値をクリアしている商品に付与される「CEマーク」を取得し、品質や安全性が広く認められている眼内レンズとなります。

多焦点眼内レンズについて

多焦点眼内レンズ

白内障手術で白く濁った水晶体を摘出することによってピント調整機能がなくなるため、水晶体の代わりとなる眼内レンズ(単焦点・多焦点眼内レンズ)を挿入することで、ピントを合わせることが可能になります。

単焦点眼内レンズでは焦点の合う距離が1点のみ(近方・中間・遠方のいずれか)なので、選択した焦点距離以外を見る際には老眼鏡やメガネが必要です。

「なるべく裸眼で見たい」という方に向けて開発された「多焦点眼内レンズ」は、2箇所以上に焦点を合わせることができ、白内障手術後でも日常生活の中で老眼鏡やメガネに頼ることが劇的に少なくなりました

多焦点眼内レンズを用いることで、白内障手術は症状を改善することだけでなく「屈折矯正(近視・遠視・乱視)や老眼矯正」も可能になり、老後のQOL(生活の質)を上げることができる治療方法としても注目されるようになりました。

単焦点眼内レンズの弱点を克服できる多焦点眼内レンズですが、もちろんデメリットもあります。ここでは改めて多焦点眼内レンズのメリット・デメリットについて解説します。

メリット

日常生活の多くの場面を裸眼で過ごせる

多焦点眼内レンズの最大のメリットは2つ以上の複数の距離にピントを合わせることです。

単焦点眼内レンズでは日常生活の中で老眼鏡やメガネが必要だった場面でも、多焦点眼内レンズによって裸眼で過ごすことのできる機会が多くなりました。

白内障と屈折異常(近視・遠視・乱視)、老眼の同時改善

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術では白内障の治療に併せて、屈折異常(近視・遠視・乱視)や老眼の改善することが可能になりました。

レンズの種類も多種多様となり、患者さまのライフスタイルに合わせて眼内レンズを選択することができます。

デメリット

ピントが合っていない距離では見えづらさを感じる場合がある

一般的な回折型の2焦点・3焦点眼内レンズでは「遠方」「中間」「近方」にピントを合わせることができます。
しかし、「遠方〜中間」、「中間〜近方」がスムーズに見えにくい場合があります。

コントラスト感度(見え方の質)の低下

多焦点眼内レンズは目に入ってくる光を振り分ける構造によって、2箇所以上の距離にピントを合わせることが可能になっています。しかし、光を振り分ける段階で光エネルギーのロス(光学的エネルギーロス)が起こり、これによってコントラスト感度(見え方の質)の低下を招きます。

例えば、回折型の2焦点眼内では、遠方に41%、近方に41%を振り分け、その結果18%の光学的エネルギーロスが発生しています。

ハロー・グレア

光がにじんで、周辺に輪がかかって見えたりする「ハロー」や、特に夜間の光がギラついて眩しく感じる「グレア」といった症状が現れます。これも多焦点眼内レンズの光の振り分け構造によるものです。

最初はこの症状が気になる患者さまが多いですが、時間の経過に伴って見え方に慣れる方がほとんどです。

夜間の見え方の違和感

人は瞳孔(黒目)の大きさ(瞳孔径)を変化させることで、目に入ってくる光の量を調節しています。
例えば、暗所では光を少しでも多く取り込むために瞳孔径を大きくします。

しかし、瞳孔径の大きさが変わることで、多焦点眼内レンズの光配分機能が適切に働きません。
これによって、レンズの種類次第ではありますが、夜間の見え方に違和感が生じる場合があります。

5焦点眼内レンズ-インテンシティの特徴

Intensity(インテンシティ)は、新しいアルゴリズム(計算方法)によって開発された「DLU(Dynamic light utilization technology)」という独自の回折構造が取り入れられています。これにより、5つの焦点距離へのピント調節が可能になりました。

さらに、従来の多焦点眼内レンズのメリットを最大化しただけでなく、デメリットも軽減されており、非常にバランス性に優れています。

あらゆる焦点距離をカバー

光エネルギー配分

3焦点眼内レンズの「遠方」「中間」「近方」に加え、従来のレンズが不得意としていた「近中(近方〜中間)」「遠中(中間〜遠方)」までの5箇所で焦点が合うことが最大の特徴です。
日常生活において必要な焦点距離を幅広く、なおかつ高い精度でカバーすることができ、快適に裸眼での生活を送ることが可能になります。また、遠方から40cmの近距離で視力の落ち込みがほとんどなく、一貫してスムーズに、「妥協なく見る」ことができます。

コントラスト感度の高さ

独自の構造によって、光学的エネルギーロスが最小限になっており、これによってコントラスト感度(見え方の質)が他の多焦点眼内レンズと比べて、非常に良好です。
2焦点眼内レンズでは20%前後、3焦点眼内レンズでは12%ほどの光学的エネルギーロスですが、Intensitry(インテンシティ)では6.5%ほどで、格段に光効率が良くなっています。

夜間でも良好な見え方を実現

夜間でも良好な見え方

Intensity(インテンシティ)の特殊な構造によって、瞳孔径の大きさごとに光配分が最適化されるように設計されています。
これによって、瞳孔の大きさが変わる暗所・夜間でも見え方の違和感がなく、良質な視界が実現されます。

ハロー・グレアの軽減

ハロー・グレアの低減

多焦点眼内レンズの中でも、比較的ハロー・グレアの出現が少ないと言われる「3焦点眼内レンズ」と比較しても、さらにハロー・グレアが抑えられています。
信号機や前の車のテールライトが気にならないので、夜間の運転や外出が多い方にもおすすめです。

5焦点眼内レンズ-インテンシティの見え方

5焦点眼内レンズ-Intensity(インテンシティ)は、「遠方」「中間」「近方」だけでなく「近中」「遠中」も合わせた5つの焦点距離にピントを合わせることができるのが最大のメリットです。
これによって、中間から近方、遠方をそれぞれ見る際に「連続してスムーズに見える」ことができます。

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの見え方の違い

焦点距離の目安

【近方】5焦点眼内レンズの見え方
【近中】5焦点眼内レンズの見え方
【中間】5焦点眼内レンズの見え方
【遠中】5焦点眼内レンズの見え方
【遠方】5焦点眼内レンズの見え方

5焦点眼内レンズ-インテンシティのデメリットは?

従来の多焦点眼内レンズのメリットを最大化し、非常に優れたバランス性能を持つIntensity(インテンシティ)ですが、「全ての患者さまにおすすめできる」、「デメリットがゼロ」というわけではありません。以下デメリットや向いていない患者さまについて解説します。

・トーリックレンズが強度近視未対応
乱視かつ-6.0D以上の強度近視がある方には5焦点眼内レンズが不適応となります。

・40cm以下の近方
近方距離が40cm以下と設定されているので、手元の細かい作業などには向いておりません。
読書や新聞程度の細かい文字であれば、問題ないと言われる方がほとんどです。

・費用が高額
完全自費負担の「自由診療」となり、他の多焦点眼内レンズと比較しても、費用は高額になります。

5焦点眼内レンズ-インテンシティの費用

5焦点眼内レンズ「Intensity(インテンシティ)」は自由診療となり、保険適用外となります。

五焦点眼内レンズ(インテンシティ) 550,000円(税込)
五焦点眼内レンズ(インテンシティ:乱視用) 616,000円(税込)

※上記片眼の費用になります。
※レンズ代金に手術費用も含まれます。

当院の白内障手術

当院で行う白内障手術は、当院院長の福岡佐知子医師が全て執刀します。
これまで眼科専門病院に17年間在籍し、白内障の中でも難症例や合併症を有する症例を得意とし、手術難易度の高い症例に対して豊富な経験を持っています。

白内障手術で使用する眼内レンズについても院長自ら厳選したレンズのみを採用しています。レンズの選定は、白内障手術後の生活の質に直結します。当院では、眼内レンズに精通したスタッフが複数名在籍しております。LINEでの無料相談も実施しておりますので、お気軽にご利用くださいませ。

白内障手術

院長 福岡 佐知子 医師
日本眼科学会認定 眼科専門医

まとめ

Intensity(インテンシティ)は5焦点眼内レンズとして「あらゆる距離で妥協なく見える」という特徴に加えて、最新の光学的デザインによって「見え方の質」にも拘って開発されています。多焦点眼内レンズのメリットを最大化し、特有のデメリットもほとんどない素晴らしい多焦点眼内レンズです。

しかし、勿論このレンズがすべての患者さまにとって、ベストな選択肢とは限りません。それぞれの眼内レンズの性質を理解し、患者様のライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。

当院では医師をはじめとして眼内レンズに精通したスタッフが複数名在籍していますので、患者さまのライフスタイルに合った眼内レンズのご提案や、患者さまと共にレンズ選択を行ってまいります。

無料LINE相談も承っておりますので、眼内レンズの選択でお困りの方、白内障手術後の見え方に違和感がある方はお気軽にご活用ください。

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ご予約のない方も診察を承っておりますが、お待ちいただく場合が御座います。
ご理解をいただけますと幸いです。
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記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医

眼科医 福岡 佐知子

眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。

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