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アトピー性白内障

アトピー性白内障

白内障と聞くとご年配の方の病気と思っている方も多いかもしれません。
実際、白内障の多くは加齢によるものが原因ですが、外傷やアトピー性皮膚炎などの合併症が原因となる場合もあります。
白内障は若い方でも罹患することがあります。
今回は、アトピー性皮膚炎に伴うアトピー性白内障について解説します。

この記事で解説していること

✔︎一般的な加齢性白内障とアトピー性白内障の違い
✔︎アトピー性白内障の特徴
✔︎
アトピー性白内障の症状や見え方
✔︎
アトピー性白内障の治療方法
✔︎アトピー性白内障とよく合併する眼の疾患

アトピー性白内障とは

白内障はこんな病気

白内障とは、目の中でレンズの役割をしている水晶体が濁り、視力が低下する病気です。
水晶体は外から目に入ってきた光を屈折させ、上手く眼底に届けるピント調整の役割を果たします。
正常な水晶体は透明であり、光をよく通しますが、何らかの原因で水晶体が濁ると眼底に上手く光を届けることができなくなり、まぶしさや目のかすみ、
視力低下などの症状が現れてきます。

白内障の眼球

加齢性白内障とアトピー性白内障

白内障の見え方

白内障の大半は加齢が原因となる加齢性白内障であり、個人差はあるものの、年齢と共に水晶体は濁り、誰にでも起こりえます。加齢性の白内障に対して、近年若年層の白内障(若年性白内障)が増えています。
若年性白内障の原因として先天的な要因や糖尿病による合併症、アレルギーやアトピー性皮膚炎の合併症、外傷、網膜剥離や緑内障などの眼の手術などが挙げられます。一般的な加齢性白内障と異なり、若い方の白内障は症状の進行が早いことが特徴です。

若年性白内障の中でもアトピー性白内障は代表的で、アトピー性皮膚炎の合併症として発症し、進行の早さも相まって早期の治療が必要となります。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎

かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。

アトピー性皮膚炎では、皮膚の”バリア機能”(外界のさまざまな刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることや皮膚に炎症があることが分かっています。
外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。
また、かゆみを感じる神経が皮膚の表面まで伸びてきて、かゆみを感じやすい状態となっており、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
成育で出生したお子さんを追跡している成育コホート研究から湿疹の経過には様々なパターンがあることが明らかとなっています。

引用:https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/atopic_dermatitis.html

アトピー性皮膚炎の仕組み

アトピー性白内障の特徴

アトピー性白内障は、加齢性白内障と異なる点がいくつかあります。

アトピー性皮膚炎は乳児期に発症することが多く、発症から10〜15年後に白内障の症状が現れるケースが多いです。
そのため、アトピー性白内障の発症年齢は思春期の子供や20〜30代が多く認められます。

また、アトピー性白内には特有の水晶体の濁り方があります。
加齢性白内障は水晶体の中心部分や周りにある皮質から濁っていくのに対し、アトピー性白内障は水晶体を包み込んでいる「水晶体嚢」といわれる袋の部分から濁っていきます。これにより、ヒトデやクローバーのような形に白濁部分が広がっています。濁り方には2種類あり、水晶体嚢の前面が濁るものを「前嚢下(ぜんのうか)白内障」、後面が濁るものを「後嚢下(こうのうか)白内障」といいます。

前嚢下白内障

後嚢下白内障

後嚢下白内障

症状・見え方

基本的には加齢性の白内障と同様の症状が現れます。

●症状
「目がかすむ」
「視界が暗く感じる」
「光が眩しく感じる」

●見え方
「ものが二重・三重に見える」
「ぼやけて見える」

さらにアトピー性白内障は水晶体の周りの皮質が加齢性白内障よりも溶けやすいため、
比較的進行が早いのが特徴で、著しく視力が低下する「成熟白内障」に至りやすくなります。

また、加齢性の白内障とは異なり、片目のみに症状が現れるケースが多く、発症していることに気づかず過ごしていることがしばしばあります。
急激に視力が低下してから初めて気付くので、早期発見が難しいとされています。

これは人はモノを見る際に両目で見るため、片方の目に異常があっても、もう片方の目で補ってしまうことが原因です。

原因

アトピー性皮膚炎が白内障に影響する明確な理由は、現在の医療技術では解明されていません。
アトピー性皮膚炎の治療に使用されてる「ステロイド剤(副腎皮質ステロイドホルモン)」の副作用が原因と一つとして考えられていますが、ステロイド剤を使っていなくてもアトピー性白内障を発症するケースもあります。
また、「アトピー性皮膚炎の症状が重い」「患っている期間が長い」ほど、アトピー性白内障の発症確率が上がっています。
このことから、アトピー性皮膚炎のかゆみにより顔や目の周りをこすったり、刺激を与えてしまうことが、白内障の発症に因果関係がある可能性があると考えられています。

治療・手術

白内障手術における眼内レンズ

初期の段階では、点眼薬の投与によって進行を抑制することができますが、あくまでも点眼治療は進行予防を促す対症療法です。
薬によって視力が回復し、白内障が完治することはありません。
白内障が進行し、低下した視力を改善するには手術が必要となります。

手術は加齢性白内障と同様に、濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、水晶体の代わりに、人工のレンズを挿入します。

アトピー性皮膚炎を患っている方は水晶体を支えるチン小帯が弱いケースが多い傾向にあり、
水晶体の代わりに挿入するレンズが傾いたり、
ズレたりするため、加齢性の白内障よりも手術難易度が高い傾向にあります。
さらに、アトピー性皮膚炎によって眼瞼炎やアトピー性結膜炎などの炎症、
網膜剥離や網膜裂孔などの網膜の疾患などの合併症を引き起こすことがあります。

アトピー性白内障とよく合併する眼疾患

アトピー性白内障と合併しやすい眼疾患について解説します。

眼瞼炎

まぶたに炎症が起きる疾患の総称です。
代表的な種類としては、まぶたの外側の「眼瞼皮膚炎」、まつげの付け根の「眼瞼縁炎」、目尻の「眼角眼瞼炎」に起きる炎症があります。
治療方法としては抗生物質や抗ウイルスの点眼や内服薬による療養になります。

網膜裂孔

網膜裂孔は網膜に裂け目ができたり、穴が開いてしまう疾患です。
初期の症状は飛蚊症(視界に黒い虫のようなものが飛んでいる)や、光視症(光が当たっていないにもかかわらず光が見える)があらわれます。
症状が進行すると、裂け目や穴の中に液状化した硝子体が網膜側に入り込むことにとよって、網膜が徐々に剥がれる「網膜剥離」に至る危険性があります。
治療方法はレーザーの照射により、裂け目や穴の周りを焼き固め、症状の進行を抑制します。

網膜剥離

網膜が眼球の壁側から剝がれ、視力低下や視野の障害を引き起こす疾患です。
網膜には痛覚がないため、剥がれても痛みを感じることはありませんが、放置してしまうことにより進行が進み、最終的には失明に至る病気です。
網膜剥離は手術が第一選択となり、主に「強膜バックリング手術(網膜復位術)」と「硝子体手術」の2種類があります。

当院の白内障手術

当院で行う白内障手術は、当院院長の福岡佐知子医師が全て日帰りで執刀を行います。
これまで眼科専門病院に17年間在籍し、白内障の中でも難症例や合併症を有する症例を得意とし、手術難易度の高い症例に対して豊富な経験を持っています。

通常の白内障よりも手術の精密さを要求されるアトピー性白内障でも、当院では対応可能ですので、他院では受け入れが難しいとされた方も、お気軽に当院へご相談ください。

白内障手術

院長 福岡 佐知子 医師
日本眼科学会認定 眼科専門医

費用

下記それぞれ白内障手術の費用の目安となります。
ご参考にしてみてください。(入院を伴わない日帰り手術の場合となります)

単焦点眼内レンズ
(保険適用)

白内障手術 1〜2割負担 3割負担の方
片眼につき 約15,000~18,000円 約50,000円

※症状の程度によって注射や薬剤が変わるため、費用が多少前後することがあります。

選定療養の多焦点眼内レンズ
(国内承認IOL)

レンズの種類 乱視矯正 片眼(税込み)
テクニスマルチフォーカル 乱視なし 240,000円
テクニスシナジー 乱視なし 350,000円
乱視あり
(トーリック眼内レンズ)
400,000円
パンオプティクス 乱視なし 350,000円
乱視あり
(トーリック眼内レンズ)
400,000円

自由診療の多焦点眼内レンズ
(国内未承認IOL)

レンズの種類 乱視矯正 片眼(税込み)
二焦点レンズ(レンティス) 乱視なし 605,000円
乱視あり
(トーリック眼内レンズ)
715,000円
三焦点レンズ(ファインビジョン、アルサフィットフーリエ) 乱視なし 605,000円
乱視あり
(トーリック眼内レンズ)
715,000円
五焦点レンズ(インテンシティ) 乱視なし 638,000円
乱視あり
(トーリック眼内レンズ)
748,000円

自由診療の多焦点眼内レンズは日本国内においては未承認のレンズで保険適用外となります。
現在、世界では様々な多焦点眼内レンズが出てきており、日本では未承認とされるレンズも海外では安全性が認められているものもあります。日本では薬事承認が下りるには長い時間を要します。自由診療の多焦点眼内レンズ=安全性が低いというわけではありません。当院では、細心の注意を払って、その有効性や安全性を検討し、術後成績などを加味して選定を行った多焦点眼内レンズのみを採用していますのでご安心ください。

高額療養費制度について

医療機関にかかる際、健康保険証の提示により、通常1~3割が自己負担額となります。

高額療養費制度は、保険診療に対して高額な医療費がかかる場合に上限を設けて負担を抑えてくれる制度で
1ヶ月(同月の1日~末日)にかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合、超えた分の払い戻しがされます。

また、あらかじめ限度額が超えることが分かっている場合、自己負担額を軽減することができます。
自己負担限度額の上限は年齢と所得により異なります。

詳しくは下記をご参照ください。

まとめ

アトピー性皮膚炎を患っている方は、白内障へ繋がるリスクがあることを十分に考慮し、
目の周りの皮膚ケアを入念におこない、予防に努めることが大切です。

アトピー性白内障は症状の進行が早い疾患で、急激な視力低下をきたすこともありますので、眼科で定期的に検診を受けることも大切です。
当院ではLINE相談を受け付けてますので、症状のある方や
アトピー性皮膚炎を患っていることで白内障のリスクが不安な方はお気軽にご相談ください。

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ご予約のない方も診察を承っておりますが、お待ちいただく場合が御座います。
ご理解をいただけますと幸いです。
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記事監修者について

日本眼科学会認定 眼科専門医

眼科医 福岡 佐知子

眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。

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