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Pan Optix(パンオプティクス)は、国内で初めて厚生省による承認を受けた「3焦点眼内レンズ」です。2020年に選定療養の制度が採用されはじめてから、2023年にFINE VISION(ファインビジョン)が選定療養になるまでは唯一の選定療養の3焦点眼内レンズであったこともあり、3焦点眼内レンズの中では最も症例数が多くあります。さらに2022年には素材を一部改良し、Alcon社最新の「クラレオン」の素材に変更され、よりメリットの大きい多焦点眼内レンズへとアップデートされています。今回は多くの患者さまに選ばれているクラレオン パンオプティクスの特徴について2焦点眼内レンズや他の3焦点眼内レンズと比較しながら解説します。
この記事で解説していること
✔︎3焦点眼内レンズ-クラレオン パンオプティクスの特徴について✔︎3焦点眼内レンズの特性や見え方について✔︎3焦点眼内レンズ-クラレオン パンオプティクスの費用について
<目次>
Pan Optix(パンオプティクス)はAlcon社(アメリカ)製の回折型3焦点眼内レンズです。2019年に国内で初めて厚生省に認可され、2020年に「選定療養」の開始とともに、2023年まで唯一の選定療養の3焦点眼内レンズでした。2023年には改良が施され、Alcon社最新の素材である「Clareon(クラレオン)」を採用し、「Clareon PanOptix(クラレオン パンオプティクス )」となりました。クラレオン素材の採用によって、過去の素材の懸念点であったグリスニング(レンズが混濁して視力に影響を及ぼす現象)の心配が殆どなくなりました。パンオプティクスは最も症例数の多い3焦点眼内レンズの中の1つですので、まずは一般的な3焦点眼内レンズについて解説します。
3焦点眼内レンズとは、白内障で白く濁った水晶体を白内障手術により摘出した後、水晶体の代わりとして機能する多焦眼内レンズの1種です。水晶体によるピント調整機能が失われた状態でも、3焦点眼内レンズによって「遠方・中間・近方」の3箇所の焦点距離にピントを合わせられることで、術後はメガネや老眼鏡の装用頻度が減り、裸眼での日常生活を実現することができます。一般的な白内障手術では、保険適応の単焦点眼内レンズが用いられますが、単焦点眼内レンズを挿入した場合、焦点が合う範囲は「近方・中間・遠方」のいずれか1点になります。そのため、選択した焦点距離以外を見る際はメガネや老眼鏡が必要となってしまいますが、焦点が合う距離では水晶体本来のような質の良い見え方になるという利点があります。メガネや老眼鏡の装用機会を減らしたいという方に向けて多焦点眼内レンズが登場し、白内障手術は白内障だけでなく、老眼や屈折異常(近視など)を改善することができるようになりました。2007年に日本で承認された初の多焦点眼内レンズである「2焦点眼内レンズ」は主に「遠方・近方」の2箇所に焦点を合わせることができます。しかし、この場合はPC作業やテレビ鑑賞で必要になる「中間」の距離での見え方に妥協が必要でした。主に中間距離の見え方をカバーすることを目的として3焦点眼内レンズが登場し、日常生活のほとんどのシーンを裸眼で過ごすことができるようになりました。魅力的なメリットを持つ3焦点ですが、相応のデメリットもあります。例えば、3焦点眼内レンズは3箇所にピントを合わせるために目に入ってきた光を各焦点距離に分散させることから、手元を見る際の明るさを確保する必要があったり、2焦点眼内レンズと比較して見え方の質(コントラスト感度)が低下しやすくなります。また、ハローグレアをはじめとする夜間の見え方の違和感も感じやすくなってしまいます。以上のことから、眼内レンズの中で3焦点眼内レンズが基本的に優れているというわけではなく、それぞれのレンズの特徴を理解し、患者様それぞれのライフスタイルや見え方への拘りに合わせてレンズを選ぶことが大切になります。
レンズによる見え方の違い
単焦点眼内レンズの見え方(遠方に合わせた場合)
2焦点眼レンズの見え方
3焦点眼内レンズの見え方
通常の3焦点眼内レンズは回折型の2焦点眼内レンズを2種類組み合わせて構成されています。対して、パンオプティクスは3種類の2焦点眼内レンズを組み合わせたALcon社独自の技術が採用されています。これによって、パンオプティクスはメリットが多彩で、3焦点眼内レンズ特有のデメリットも軽減されていることから、バランス性の高い眼内レンズで多くの人に選ばれています。具体的には以下のような特徴がパンオプティクスにはあります。
パンオプティクスは、遠方・中間(60cm)・近方(40cm)の3箇所に焦点を合わせることができ、日常生活において幅広い距離をカバーできます。中間距離をカバーできることによって、PCを快適に操作できる他、テレビ鑑賞や料理も不便利なく行うことができます。パンオプティクスによってメガネや老眼鏡への依存度を減らし、裸眼での日々の生活が実現可能になります。
通常の2焦点眼内レンズを2種類組み合わせて構成されている3焦点眼内レンズの場合、回折構造上35cmを近方と設定すると、その倍の70cmが中間になり、その差が35cmとなります。この近方と中間距離の差が短いほど、中間〜近方にかけてのスムーズなピント調整をすることができるとされています。対して、パンオプティクスは独自の構成方法によって遠方、中間(60cm)、近方40cmの3箇所に焦点を合わせることができます。近方と中間距離の差が20cmとかなり抑えられているため、中間〜近方にかけて「連続して良好な視力を得る」ことが可能になりました。これはPC作業だけでなく複数のハンドヘルドディバイス(スマートフォンやタブレッド端末など)を活用している現代の人々にとって、このような周辺機器に対しても中間〜近方のスムーズなピント調整が可能になるため、現代のライフスタイルに合っているレンズといえます。
多焦点眼内レンズは複数箇所にピントを合わせるために、目に入ってきた光をレンズ構造によって、それぞれの距離に振り分けています。しかし、光エネルギーを振り分ける際に光エネルギーの消失(光エネルギーロス)が発生し、これが多焦点眼内レンズのコントラスト感度(見え方の質)が低下する原因となっています。例えば、一般的な2焦点眼内レンズでは、目に入ってきた光(=100%)を「遠方:41%」、「近方:41%」振り分けるので、結果18%の光エネルギーのロスが発生しています。通常は焦点距離数(=光の振り分け先)が増えるに比例して、光エネルギーロスは増えます。しかし、パンオプティクスは独自のレンズ構造によって高い光エネルギー利用率を実現し、3焦点眼内レンズの複雑な構造ながらも光エネルギーロスは12%まで軽減されています。そのためコントラスト感度の低下が抑えられ、質の高い見え方が期待できます。
人の目は瞳孔(黒目)の大きさを変化させることで、目に入る光の量を調整しています。例えば、暗い場所では瞳孔を開いて(=瞳孔径を大きくして)光をより多く取り込みます。しかし、多焦点眼内レンズは目の中に取り込んだ光をレンズの構造で、それぞれの焦点距離へ振り分けているため、入ってくる光の量によって見え方が異なります。特に入ってくる光の量が少なくなる夜間の視力が落ち込みます。対して、パンオプティクスは「4.5mmの回折領域」を採用することで、瞳孔径(照明環境)の変化に依存せず、どんな場所でも安定した見え方を得ることが可能です。
パンオプティクスはレンズのエッジデザインにAlcon社独自の技術が取り入れられ、後発白内障の発症リスクを軽減することができます。さらにパンオプティクスに使用されているクラレオン素材は、加齢黄斑変性などの原因にもなり得る「紫外線」を吸収しやすいことが特徴として挙げられます。また、稀に眼内レンズはズレたり(亜脱臼)、目の中に落ちたり(脱臼)する場合がありますが、パンオプティクスはレンズの固定安定性が評価されており、亜脱臼や脱臼の可能性が他のレンズと比べて少ないと報告されています。
※下記金額に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。※上記片眼の費用になります。
院長 福岡 佐知子Sachiko Fukuoka
当院では院長の福岡医師が全ての手術を行います。
これまで眼科専門病院で17年間勤務し、難症例や合併症を有する白内障手術の症例や、眼科手術の中でも難易度の高い手術といわれている網膜硝子体手術を得意とします。
さらに当院では医師をはじめとして眼内レンズに精通したスタッフが数名在籍していますので、患者さまのライフスタイルに合った眼内レンズのご提案、共にレンズ選択を行ってまいります。
無料LINE相談も承っておりますので、白内障手術後の見え方でご相談がある方はお気軽にご利用下さいませ。
経歴川崎医科大学附属病院 眼科姫路聖マリア病院 眼科多根記念眼科病院 部長多根記念眼科病院 副院長多根記念眼科病院 非常勤医師 手術執刀医ふくおか眼科クリニック 中野 院長
資格日本眼科学会認定 眼科専門医後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)認定医・エキスパートインストラクターエキシマレーザーVisix認定医・インストラクターオキュレンティス社認定医・インストラクターフェムトセカンドレーザー IntraLase FS Laser認定医フェムトセカンドレーザー白内障手術Catalis 認定医虹彩固定型有水晶体眼内レンズ(Artisan)認定医虹彩固定型有水晶体眼内レンズ(Artiflex)認定医角膜内リング(Intacs)認定医角膜内リング(Ferrara ring)認定医眼瞼けいれん治療ボツリヌス療法認定医オルソケラトロジー認定医光線力学的療法(PDT)認定医Laser Vitreolysis認定医iStent認定医身体障害者福祉法指定医
3焦点眼内レンズのPan Optix(パンオプティクス)では、遠方・中間(60cm)・近方(40cm)の3箇所に焦点を合わせることができ、日常生活において幅広い距離をカバーできます。また、中間から近方にかけて連続して良好な視力を得ることができる設計になっており、PCをはじめ複数の機器を使い分ける現代人の生活スタイルにあった眼内レンズとなっております。レンズの特徴や特性を理解することは勿論大切ですが、それ以上に患者様の目の状態やライフスタイルに適した眼内レンズを選ぶことが最優先です。単焦点レンズや2焦点眼内レンズも含めた豊富な選択肢がありますので、医師のよる目の状態の診察を踏まえ、白内障手術後のアフターライフを十分に考慮してレンズを検討しましょう。当院では「院長福岡医師の多焦点眼内レンズに対する幅広い知見」や「当院の多焦点眼内レンズ挿入実績数」がAlcon社に評価され、過去に「先行使用施設」として最新の眼内レンズを先駆けて使用開始した経験もあります。白内障手術に豊富な経験と執刀実績を持つ医師だけでなく、眼内レンズに精通したスタッフが複数名在籍しておりますので、丁寧なヒアリングの後、患者さまのライフスタイルに適した眼内レンズのご提案をさせていただきます。当院HPでは、FINE VISION(ファインビジョン)についてパンオプティクスと比較しながら解説している記事もありますので、3焦点眼内レンズをご検討中の方は下記の「関連記事」よりご覧ください。
また、遠方の方に向けて、無料のLINE相談も承っておりますので、3焦点眼内レンズをご検討中の方、眼内レンズの選択でお悩みの方はお気軽にご活用ください。
記事監修者について
日本眼科学会認定 眼科専門医
眼科医 福岡 佐知子
眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。
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