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従来では「自由診療」の枠組みの中にあった3焦点眼内レンズ「FINE VISION(ファインビジョン)」ですが、2023年に新たに「選定療養」として厚生省に承認されました。FINE VISION(ファインビジョン)は2010年に登場した「世界初」の3焦点眼内レンズです。国内では2019年に3焦点眼内レンズの「Pan Optix:パンオプティクス(Alcon社)」が厚生省から認可され、現在では症例数の多い多焦点眼内レンズの1つとなっています。白内障手術時に3焦点眼内レンズを検討する場合、選定療養であると理由からPan Optix(パンオプティクス)を選ばれることがほとんででしたが、FINE VISION(ファインビジョン)が選定療養に加わったことで、ご自身の目に合わせて柔軟な「3焦点眼内レンズ」の選択ができるようになったでしょう。今回はFINE VISION(ファインビジョン)の特徴をはじめ、同じ選定療養の3焦点眼内レンズ「Pan Optix(パンオプティクス)」と比較しながら解説します。
この記事で解説していること
✔︎3焦点眼内レンズ-ファインビジョンの特徴について✔︎3焦点眼内レンズと2焦点眼内レンズの違いについて✔︎同じ3焦点眼内レンズのパンオプティクスとの比較✔︎3焦点眼内レンズ-ファインビジョンの費用について
<目次>
FINE VISION(ファインビジョン)はBVI社(アメリカ)製の回折型3焦点眼内レンズです。2010年に世界で初めて登場した3焦点眼内レンズで、海外では同年にCEマークを取得しています。2023年には日本でも厚生省から認可を受けて「選定療養」となりました。
FINE VISION(ファインビジョン)の特徴について解説する前に、次項で一般的な3焦点眼内レンズについて2焦点眼内レンズと比較しながら解説します。
白内障手術では、白く濁った水晶体を砕いて摘出し、ピント調整を担っていた水晶体の代わりに「眼内レンズ(単焦点・多焦点眼内レンズ)」を目の中にインプラントします。基本的には保険適応の「単焦点眼内レンズ」を用いますが、モノを見る際の焦点(ピント)が挿入前に選択した「遠方・中間・近方」のいずれかにしか合わなくなるため、設定した距離以外を見る場合にはメガネや老眼鏡が必要になります。現在では、メガネや老眼鏡の装用機会を減らす(日常生活をできる限り裸眼で過ごす)ことを目的として、複数距離へのピント調整が可能な「多焦点眼内レンズ」が登場しています。多焦点眼内レンズの中でもベーシックなものとして「2焦点眼内レンズ」と「3焦点眼内レンズ」があります。2焦点眼内レンズでは、主に「遠方・近方」の2箇所に焦点距離を設定することができます。しかし、この場合はテレビ鑑賞やPC作業で重要になる「中間」距離での見え方の妥協が必要でした。対して、3焦点眼内レンズでは、2焦点眼内レンズで妥協が必要だった焦点距離もカバーすることで、日常生活のほとんどの場面を裸眼で過ごすことが可能になりました。メリットも大きいですがデメリットもあり、3焦点眼内レンズは2焦点眼内レンズと比較してコントラスト感度が落ちやすくなります。多焦点眼内レンズは目に入る光をレンズの構造によって、それぞれの焦点距離へ振り分けることで、複数箇所へのピント調整が可能になっていますが、振り分けの際に光エネルギーのロスが発生します。この光エネルギーのロスはコントラスト感度(見え方の質)が落ちる原因となり、基本的には光の振り分け先(=焦点距離)が増えるほど、エネルギーロスが発生しやすくなります。また、3焦点眼内レンズはより複雑な構造になるため、ハロー・グレア*も発生しやすくなります。*ハロー:光に円環状の滲みが出現する症状 グレア:光が眩しくギラつくように感じる症状
FINE VISION(ファインビジョン)は「遠方と近方」、「遠方と中間」の2種類の2焦点眼内レンズを組み合わせるとによって「遠方・中間・近方」の3つの距離にピントを合わせることが可能になっています。また、レンズデザインには「アポダイズ回折型」という特殊な構造が用いられており、以下のような特徴があります。
遠方、中間(75cm)、近方(35cm)にピントを合わせることができ、日常生活で必要な幅広い距離をカバーできます。これによって、メガネやコンタクトレンズを必要としない裸眼でのライフスタイルが実現可能でしょう。
FINE VISION(ファインビジョン)に採用されている「アポダイズド回折型」によって、ハロー・グレアを軽減することができます。「アポダイズド回折型」とはレンズの中央部分と周辺部で異なる回折構造を持つレンズデザインです。レンズ中心部分は円の内側から外側にかけて遠方に光量が振り分けられる回折構造となっており、周辺部分は遠方のみの屈折領域を有しています。これによって、夜間に光をより多く取り込むために大きくなる「瞳孔径(瞳の大きさ)」に合わせて、遠方への光の振り分け量が大きくなるため、夜間でも良好な視界を得ることができます。その代わり、暗所での近方の見え方が衰えてしまうので、暗いところでは手元の明るさを確保する必要があります。
前述のとおり従来の眼内レンズは焦点距離(=光の振り分け先)が増えるに連れて、エネルギーロスが増加してコントラスト感度が低下しやすくなりますが、FINE VISION(ファインビジョン)はコントラスト感度の高さが特徴の1つです。一般的な回折型2焦点眼内レンズは目に入った光を「遠方に41%」、「近方に41%」を振り分け、その結果18%の光エネルギーのロスが発生しています。しかし、FINE VISION(ファインビジョン)は「遠方に42%」、「中間に15%」、「近方に29%」を振り分けることができ、14%の光エネルギーロスに抑えられています。これにより見え方の質も良好な多焦点眼内レンズとなっています。
FINE VISION(ファインビジョン)は同じ3焦点眼内レンズのPan Optix(パンオプティクス)と比較されることがしばしばあります。Alcon社のPan Optix(パンオプティクス)は2019年厚生省に国内初の3焦点眼内レンズとして認可され「選定療養」として現在まで使用されてきました。そのため、患者さまの中には、今まで自由診療としてFINE VISION(ファインビジョン)が取り扱われていたので、コスト負担の観点から選定療養のPan Optix(パンオプティクス)を選択した方もいらっしゃるでしょう。しかし、2023年にFINE VISION(ファインビジョン)も厚生省に認可され「選定療養」になったことから、より多くの方が3焦点眼内レンズを比較検討することが多くなるでしょう。以下でこの2つの3焦点眼内レンズについて比較して解説します。
中間の見え方については、FINE VISION(ファインビジョン)、Pan Optix(パンオプティクス)に良好な中間視力を得ることができますが、特にPan Optix(パンオプティクス)は中間から近方にかけて「連続的に良好に見える」と言われています。これはPan Optix(パンオプティクス)の焦点距離が中間60cm、近方40cmとなっており、中間〜近方までの焦点距離が離れていないことが理由として挙げられます。現代の人々の日常生活の中でPCの使用頻度が増加しているだけでなく、ハンドヘルドデバイス(スマートフォンやタブレッドなど)の活用方法も多種多様になっていることから、Pan Optix(パンオプティクス)のこの近方〜中間の見え方は現代のライフスタイルに適しているでしょう。対して、FINE VISION(ファインビジョン)は近方の見え方に優位性を持ちます。Pan Optix(パンオプティクス)の近方が40cmで設定されていますが、FINE VISION(ファインビジョン)が35cmとなっているので、30cm前後の近方ではFINE VISION(ファインビジョン)の方が比較的良好な視力を得ることができます。近方距離においては、より日本人の体格により合っているといえます。そのため、もともと近視で手元の見え方に慣れていた方、手元の作業や細かい文字を読む機会が多い方にはFINE VISION(ファインビジョン)が向いているでしょう。ハローグレアに関しては、どちらのレンズも症状を軽減することができる構造を有しておりますが、「アポダイズド回折型」が採用されているFINE VISION(ファインビジョン)の方が少ないといわれています。
※下記金額に加えて手術費用(保険診療分)が別途かかります。※上記片眼の費用になります。
院長 福岡 佐知子Sachiko Fukuoka
当院では院長の福岡医師が全ての手術を行います。
これまで眼科専門病院で17年間勤務し、難症例や合併症を有する白内障手術の症例や、眼科手術の中でも難易度の高い手術といわれている網膜硝子体手術を得意とします。
さらに当院では医師をはじめとして眼内レンズに精通したスタッフが数名在籍していますので、患者さまのライフスタイルに合った眼内レンズのご提案、共にレンズ選択を行ってまいります。
無料LINE相談も承っておりますので、白内障手術後の見え方でご相談がある方はお気軽にご利用下さいませ。
経歴川崎医科大学附属病院 眼科姫路聖マリア病院 眼科多根記念眼科病院 部長多根記念眼科病院 副院長多根記念眼科病院 非常勤医師 手術執刀医ふくおか眼科クリニック 中野 院長
資格日本眼科学会認定 眼科専門医後房型有水晶体眼内レンズ(ICL)認定医・エキスパートインストラクターエキシマレーザーVisix認定医・インストラクターオキュレンティス社認定医・インストラクターフェムトセカンドレーザー IntraLase FS Laser認定医フェムトセカンドレーザー白内障手術Catalis 認定医虹彩固定型有水晶体眼内レンズ(Artisan)認定医虹彩固定型有水晶体眼内レンズ(Artiflex)認定医角膜内リング(Intacs)認定医角膜内リング(Ferrara ring)認定医眼瞼けいれん治療ボツリヌス療法認定医オルソケラトロジー認定医光線力学的療法(PDT)認定医Laser Vitreolysis認定医iStent認定医身体障害者福祉法指定医
3焦点眼内レンズのFINE VISION(ファインビジョン)では、2焦点眼内レンズでカバーできなかった距離にピントを合わすことができるようになり、メガネや老眼鏡に依存しない裸眼での日常生活が実現できます。さらに、コントラスト感度の低下やハローグレアの自覚といった多焦点眼内レンズ特有のデメリットを軽減されています。FINE VISION(ファインビジョン)が選定療養として認可されたことで、3焦点眼内レンズご希望の患者様にとっては費用的な観点から妥協せずにより柔軟な選択をできるようになっています。また、FINE VISION(ファインビジョン)とPan Optix(パンオプティクス)のどちらが優れているというわけでなく、患者様によってはそもそも3焦点眼内レンズがベストな選択肢になるとは限りません。ご自身の生活スタイルと眼内レンズの性質、医師と十分なコミュニケーションを取った上、適した眼内レンズを選択することが大切です。当院では多焦点眼内レンズを用いた白内障手術に豊富な執刀実績を持つ医師をはじめ、眼内レンズに精通したスタッフが複数名在籍しております。丁寧なヒアリングの元、患者さまのライフスタイルに合った眼内レンズのご提案させていただきます。また遠方の方に向け、無料LINE相談も承っておりますので、3焦点眼内レンズをご検討中の方、眼内レンズの選択でお困りの方はお気軽にご活用ください。
記事監修者について
日本眼科学会認定 眼科専門医
眼科医 福岡 佐知子
眼科専門病院で17年間勤め、眼科医療の最前線で幅広い専門分野、年齢層の手術に対して多数の執刀実績を持ちます。難症例や合併症を含む白内障手術から眼科手術で最も難しい手術とされる硝子体手術を得意としています。また、国内で眼科医にレーシックやICLの技術的指導を行うインストラクターとしても活動をしています。
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